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2017年4月から福岡大学人文学部歴史学科で西洋史を担当してます。


by schembart

『道』

フェデリコ・フェリーニの『道(La Strada)』(1954年、イタリア映画)のDVDを見ました。

ぼくが中学生か高校生だったころに、たしかNHKの番組で放送されていたのを見た記憶があります。全部見たのではなくて、道化に扮した主人公のジェルソミーナが杖をもって踊っているシーンがやけに印象的で、そのシーンだけがずっと心に引っかかっていました。いつかちゃんと見ようと心に決めて、『道』というタイトルだけは忘れずにいました。

こちらの本屋さんで『道』を見つけ購入し、さきほど見終わりました。「ドイツ語吹き替えの字幕なし」か「イタリア語のドイツ語字幕つき」しか選べず、迷いながらも字幕なしドイツ語吹き替えを選択することに。こまかいところは理解できなかった箇所もあったのですが、なんとか話にはついていけました。

それにしても、とてもよい作品です。50年以上も前にこんな名作が世の中に誕生していたのは驚きです。これをみると、映像技術の進歩など「よい映画」を作る上ではそれほど大きな意味は持たないように感じてしまいます。白黒の画面からは、登場人物たちの感情がこれでもかというほどに伝わってきます。とても悲しい物語です。

主人公のジェルソミーナを演じるのは、監督フェリーニの奥さんで女優でもあったジュリエッタ・マシーナ。美人とは言えないけども、とても個性的でやけに魅力的です。ぼくはとても好きです。かつて学生のころにみたときに、ぼくが強く彼女の演技に心惹かれたのも、よくわかります。彼女が吹くトランペットの調べはシンプルでとても美しい。

古い映画なので、あんまり好みに合わない方もいるかもしれませんが、まだ見ていない方がいましたら、ぜひ見てみてください。心からお勧めできる映画です。

まだ一度しか見ていないし、語学の問題もあるので、この映画がもつ深みや重みをぼくはまだ全部は理解できていないと思います。これからも何度も何度も繰り返して見続けていこうと思います。
by schembart | 2009-09-14 04:01 | 映画