中近世ドイツ都市史を研究する渡邉さんの日々 2009年夏からドイツに留学中(2013年9月に帰国しました)


by schembart

文献紹介『中世の技術』

Marcus Popplow: Technik im Mittelalter, München 2010.
『中世の技術』

べック社(C.H.Beck)新書の最新刊。128頁。

著者マルクス・ポップロー博士(Dr. Marcus Popplow)は、産業化以前ヨーロッパの技術史、科学史、環境史を専門とされています。

中世の技術史に関する概説書。短い割には、たくさんのトピックを取り上げていてなかなか勉強になります。以下が目次。

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I. Einleitung(はじめに)
Überreste: Objekte(遺物:モノ)
Überreste: Schriften(遺物:文字)
Ansätze der Forschung(研究の兆し)
Räumliche und zeitliche Grenzen(空間的・時間的枠組み)

II. Rahmenbedingungen(枠組みとなる条件)
Orte der Technik(技術の場)
Kloster(修道院)
Schlachtfeld(戦場)
Werkstatt (工房)
Haushalt(家)
Hof(宮廷)
Ressourcen(資源)
Akteure(立役者)
Institutionen(手引き)
Medien(媒体)
Begriffe(概念)
Europa in der Welt(世界のなかのヨーロッパ)

III. Innovationsprozesse(刷新の経過)
Von einem Ort zum anderen: Transport(ある地点から別の場所へ:輸送技術)
Zu Lande(陸路)
Zu Wasser(水路)
Handelswege(商業路)
Spiralen der Aufrüstung: Militärtechinik(武具の発展:軍事技術)
Hand- und Fernwaffen(手持ちの武器・長距離武器)
Belagerungsgerät(包囲用武器)
Techinische Vielfalt als Prinzip: das Handwerk(原則としての技術的多様性:手工業)
Handwerk und Innovation(手工業と刷新)
Glas (ガラス)
Textilien(繊維製品)
Buchdruck(印刷)
Landwirtschaft - ein technikfernes Feld?(農業―技術からかけ離れた分野?)
Universalmotor des Mittelalters: die Mühle(中世における万物の発動機:水車)
Die verborgenen Schätze von "Mutter Erde": Bergbau(「母なる大地」の秘宝:鉱山業)
Glanzpunkt der mittelalterlichen Techinik: Kirchenbau(中世技術のハイライト:教会建築)
Erfindung der Zeitmaschine: die mechanische Räderuhr(時計の発明:からくり時計)

IV. Motivationen?(動機?)
Christliche Werte als Förderer der Technik?(技術の促進者としてのキリスト教的価値?)
Technikverständnis ohne Technikbegriff?(概念なき技術理解?)
Sagen Bilder mehr als Worte?(絵は言葉よりも物を言う?)

V. Wege in die Neuzeit(近代へのいくつかの道程)

Weiterführende Literatur
Bildnachweis
Sachregister
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資源としての木材やその運搬方法にも触れられていまして、ぼくには嬉しい限り。技術史と環境史というのは、じつはかなり深い関係を持っているのです。

中世史における技術史の位置づけ、それからドイツにおけるその研究史については、文献目録に載っていた著者の以下の論文が参考になりそうです。こんど時間を見つけて読んでみよう。

Popplow, M.: Die Technik als Thema der Mediävistik, in: W. König/H. Schneider (Hg.), Die technikhistorische Forschung in Deutschland von 1800 bis zur Gegenwart, Kassel 2007, S. 207-225.

中世ヨーロッパの技術史といえば、昨年に刊行された以下の文献がすぐに思い浮かびますね。ぼくも2月の一時帰国のさいに購入して読みました。フランス語圏の事例が中心ですが、森林のことにも頻繁に触れらていて、とても勉強になりました。

堀越宏一『ものと技術の弁証法:ヨーロッパの中世⑤』岩波書店、2009年
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by schembart | 2010-04-27 03:53 | 文献紹介 | Comments(0)