中近世ドイツ都市史を研究する渡邉さんの日々 2009年夏からドイツに留学中(2013年9月に帰国しました)


by schembart

オーストリア国立文書館

ウィーンでの史料調査について、忘れないうちに記しておこうと思います。

今回ぼくが訪れたのは、オーストリア国立文書館(Österreichisches Staatsarchiv)のなかでも、家門・宮廷・国立文書館(Haus-, Hof- und Staatsarchiv)という分館です。ハプスブルク家の文書保管・所蔵を主な目的として1749年に設立された文書館。ミノリーテン教会の向かいにある建物が分館として使用されています。

2週間前に訪問の申し込みと請求資料の所蔵番号をメールで伝えておいたので、利用手続きも(いままでの文書館のなかでは一番面倒くさかったものの)とくに問題もなく進みました。まず玄関で名前をチェックし、荷物をロッカーにしまいこみ、上の階の閲覧室の受付へ。そこで利用申し込み用紙に必要事項を書き込みまして、受付の隣にいる文書館員とお話。ぼくの場合は読みたい史料が具体的に特定できていたので事務的な短いやりとりで終わりましたが、本格的にここで史料調査をする研究者は、きっとこの文書館員と具体的な史料に関する相談をすることになるかと思います。

それから上の階にある事務所(Kanzlei)で利用カードを購入します。5日間利用カードが9€。他にも月間カード、年間カードもあります。このカードがないと文書館を利用することができません。文書館で使用料を払ったのは、今回がはじめて。カードを購入すると、文書に触れるときに必要となる手袋をくれます。手袋をはめると気持ちも高ぶります。

閲覧室にもどり受付で利用カードを見せ、日付のスタンプを押して貰って利用手続きも完了です。お願いしていた史料はもう別室に用意されていたので、さっそく閲覧室で史料調査を開始。思ったよりもすらすらと話が進んでほっと一安心。見たかった史料も目の前に。良かった良かった。

さすが国立文書館。分館といえど閲覧室もアウクスブルクやニュルンベルクの文書館と比べるとずっと大きく、研究者の数も多かったです。それに、利用者の顔ぶれもなんだか若いように感じられました。まあ地方の文書館だと、やはり年配の利用者が多いのでしょう。建物自体もきれいで、文書館員も優しい方ばかり。もっといろいろと観察したかったのですが、滞在の期日も限られているので、意識を史料に集中させることに。

今回ぼくが見たかったのは、以前にニュルンベルク市立文書館で見つけた「薪節約術の特権状」のオリジナル文書です。ニュルンベルクのものは印刷されていましたが、こちらのは手書き。ほぼ文面も同じ。もっと嬉しいことに、皇帝に対し薪節約術の特権授与を申し出た「請願書」も一緒に所蔵されていました。請願書は二種類ありまして、ひとつは薪節約術を発明したニュルンベルク市民が都市参事会に宛てた「請願書」、もうひとつは、それを受けてニュルンベルク都市参事会が皇帝に宛てて当市民への特権付与を申し出た「請願書」です。どちらも興味深い内容を含んでおりました。

来週に迫ったベルリンでの発表では、報告時間も短いですし、期日も迫っているので残念ながらウィーンでの調査結果を存分には消化できませんが、もっと詳細にこの問題を論じる別の機会も頂けそうですので(まだ予定は未定)、もう少し腰を落ち着けてじっくりと議論を深めたいと思います。なんだか、この「請願書」を使って、うまく議論を展開できそうな予感もありますので、乞うご期待です(希望的観測)。

そんなこんなで、今は来週のベルリン報告の原稿作りに追われております。はやく終えてしまいたい。心おきなく美味しいビールにおぼれたい。がんばろう。
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by schembart | 2010-07-06 19:09 | 研究 | Comments(0)