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2017年4月から福岡大学人文学部歴史学科で西洋史を担当してます。


by schembart

論文刊行「貧民への木材供与」

前回に引き続き、論文刊行のお知らせです。

渡邉裕一「貧民への木材供与―16世紀アウクスブルクの事例から」『エクフラシス―ヨーロッパ文化研究』(早稲田大学ヨーロッパ中世・ルネサンス研究所)第2号、2012年、137-152頁

はじめに
第1章 16世紀前半における貧民救済の制度化
(1) 都市の救貧制度改革―1522年の貧民条令
(2) 喜捨システムの制度化―1541年の喜捨条令
(3) 1540年代の木材不足と貧民への木材供与
第2章 16世紀後半における貧民への木材供与
(1) 喜捨局による定期援助と木材供与の割合
(2) 食糧管理局による木材供与
(3) 疱瘡院への木材の定期的支給
おわりに

前回の「木材供給」論文では、都市がいかに木材を調達していたかを論じましたが、今回は、その苦心して調達した木材を、都市が市内でいかに分配していたのかを問うために、16世紀アウクスブルクで活発に観察される「貧民への木材供与」を取り上げました。社会史研究で重厚な蓄積がある都市の救貧政策との関連性も強く意識しました。市内における燃料資源の適切な分配は、都市の社会福祉政策にも関わる重要な課題だったのです。ぜひ、「木材供給」論文とご一緒に読んでいただければ大変うれしいです。どうぞよろしくお願いします。

この時期に2本の論考を発表できたのは、今の自分にとっては大変に意味のあることだと思っております。博士論文の完成に向けて、姿勢を正して、また一段と頑張らないといけません。はい。そうです。がんばろう。
by schembart | 2012-03-30 15:49 | 研究