人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2017年4月から福岡大学人文学部歴史学科で西洋史を担当してます。


by schembart

サイト紹介『アウクスブルク都市事典』

1985年の都市生誕2000周年を記念して刊行されたのは記念論文集『都市アウクスブルクの歴史』だけではありません。

Wolfram Baer u.a. (hrsg.), Augsburger Stadtlexikon: Geschichte, Gesellschaft, Kultur, Recht, Wirtschaft, Perlach-Verlag, Augsburg 1985, 432 S.

『アウクスブルク都市事典』もまた、記念論文集とともに都市アウクスブルクの歴史を知るうえでは欠かすことのできない必須アイテムとなっております。しかもこの『事典』は、1998年に当時の研究動向を踏まえて大幅な改訂が加えられて、パワーアップして再刊されました。頁数も2倍以上になっています(全998頁!)。

Günther Grünsteudel / Günter Hägele / Rudolf Frankenberger (hrsg.), Augsburger Stadtlexikon, 2. Aufl., Perlach-Verlag, Augsburg 1998, 998 S.

ですが、この『事典』の成長は、これで終わりではありません。2007年に「ヴィースナー出版(Wißner-Verlag )」が版権を手に入れたのをきっかけに、この『事典』はインターネット上で新たに公開されました。

こちら

第2版に収録された項目はすべて網羅されてますし、またその後の研究の進展に合わせてその都度改訂もされているようです。無料で全世界のユーザーに公開するというヴィースナー出版社の心意気がたまりません。サイトは、その利点について以下のように説明しています。泣かせます。

「時代の流れに合わせ、その都度、記述の更新を進めていくことができるし、また無料でのアクセスを通じて、例えば高校生のような高価な事典を購入することが難しい利用者たちの心にも訴えることが可能となる(Die Fortschreibung kann zeitnah und sukzessive erfolgen, und durch den kostenlosen Zugang können auch Benutzerkreise angesprochen werden, die sich die Anschaffung eines teueren Lexikons nicht leisten wollen oder können, wie zum Beispiel die Gruppe der Schüler)」

「インターネット上での無料の公開は、都市アウクスブルクの歴史に関する知識をさらに増大することに貢献し、またすべての人に対し、内容豊かな学術的な基礎を参照し、その情報を引用として使用する可能性を提供するに違いない(Die freie Veröffentlichung im Internet soll dazu beitragen, das Wissen über die Augsburger Stadtgeschichte noch weiter zu verbreiten und jedem die Möglichkeit bieten, sich auf wissenschaftlicher Grundlage umfassend zu informieren wie auch die gebotenen Informationen zitierfähig zu verwenden)」

A-Z事典では、記事ごとに簡潔な説明と参考文献が挙げられてます。ほかにも、テーマ別の16本のエッセイや、歴代の市長リストや司教リスト、それに度量衡の換算一覧なども見ることができます。至れり尽くせりです。ぼくはこのサイトを知る前に初版を古本屋で安く見つけて嬉々として購入して帰ってきたのですが、なんのことはありません、便利な世の中になったのです。でも、なぜだか改訂版に再録されずに削られてしまった記事もあって、それはサイトにも反映されていないので、初版本を手元に置いておく意味がまったくないというわけでもありません、と自分に言い聞かせておきます。
by schembart | 2009-12-11 23:21 | サイト紹介