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中近世ドイツ都市史を研究する渡邉さんの日々 2009年夏からドイツに留学中(2013年9月に帰国しました)


by schembart

回顧と展望

実家から最新の『史学雑誌』「回顧と展望」号を送ってもらいました。

「2012年の歴史学界―回顧と展望―」『史学雑誌』(第122編第5号、2013年5月)

『史学雑誌』の5月号は、昨年に歴史学界で発表された著作・論文から、信頼できる研究者たちがそれぞれに重要と思われる成果を取り上げて、短い論評をつけて紹介するというもの。歴史を学ぶ大学院生にとっては、研究の重要な道しるべとなりますし、若手の研究者にとっては、自分の論考が取り上げてもらえるかどうかが気になるところ(再録)。

ありがたいことに、ヨーロッパの「中世―中東欧・北欧」(池田利昭)で拙論「中近世アウクスブルクの木材供給」(『西洋史学』241号)を、またヨーロッパの「近代―ドイツ・スイス・ネーデルラント」(鈴木直志)で上記拙論と「貧民への木材供与」(『エクフラシス』2号)をそれぞれ取り上げていただきました。両先生には、いづれお会いしたときにお礼をしないと。鈴木先生には、じつは中央大学の学部時代に厳しくドイツ語の精読の仕方を教えてもらいました。もう10年以上も前のお話。たしかフリードリッヒ大王の『政治遺訓』を読解の授業で読んだのでした。ああ、懐かしい。

池田先生からは、「一五世紀末から一六世紀中葉にかけての都市への木材供給を未刊行史料に基づいて総合的に描く力作である」(320頁)との評をいただきました。また、若曽根健治「森林犯罪告発人制度管見(二)」(『熊本法学』126号)との関連で、「(前略)かかる領邦政府主導の森林管理は、上記渡邉論文が扱う、都市への森林供給を考察するうえでも重要な論点を含んでいるように思われる」(321頁)とのご指摘も。若曽根論文との議論のすり合わせは、ぼく自身の今後の重要な課題でもあります。

鈴木先生からは、論文内容の紹介のうえで、「これらをふまえて体系的に叙述がなされれば、政治史や経済史、社会史などの分野を横断した、木材という視座からの独自の歴史像を提起できるかもしれない。今後が期待される」(344頁)との評をいただきました。まさに、博士論文で意図するところであり、今後目に見える形で世の中に成果を問うていく予定です。先生のご期待に沿えるよう、がんばらないといけません。

2008年2010年に続いて、拙論を取り上げてもらい嬉しい限りです。総論や歴史理論をはじめ、別の分野の個所も拾い拾い読んで、自分なりにも「回顧と展望」をできたらなと思います。

「編集後記」に記された相澤隆東大教授の「回顧」は、いまのぼくにはとてもしっくりときました。「「回顧と展望」はとくに若い頃の私にとっては、ひじょうに大きな意味を持つ記事で、そこで仕事を批判されて落胆したり、逆に褒められて驚喜したりした経験は私の研究生活にとって貴重なものだった」(395頁)。
by schembart | 2013-06-29 16:22 | 研究